1.「2020年北海道大学(前期日程)第一問」の概要
2020年の北海道大学(前期日程)の第一問です。
解答時間(目安)は35~40分。
出典は中屋敷均さんの
「科学と非科学 その正体を探る」です。
文章の前半は
科学の性質について書かれています。
後半は前半の内容をふまえつつ、
権威主義の危うさを指摘した文章になっています。
2. 「2020年北海道大学(前期日程)第一問」で必要とされる能力
- 文章構造を理解する能力
- 意見を読み取る能力
- 記述問題の解答作成能力
3.「2020年北海道大学(前期日程)第一問」の文章はこんな感じ
【前半(1~6段落)】
科学の学説は更新され続けるので
正しいと思われていたことが誤りであったり
正しいと思われていた仮説に修正が入って、
より良い仮説に変化したりします。
【後半(7~13段落)】
科学的知見の中には
確度の異なるものが混在しているため
我々は確度の違いを意識しながら
物事を判断していく必要があります。
しかし、確度の判断ができない我々は
権威主義に陥りがちです。
権威主義に陥ってしまうことの
危うさが指摘されています。

みんなが権威付けされた説を盲目的に信じてしまうと、科学的知見が更新されなくなってしまいますね(;’∀’)
4.「2020年北海道大学(前期日程)第一問」の問題
2020年北海道大学(前期日程)第一問の各問を見ていきましょう。
4.1. 問1(漢字の書き取り)
標準レベルです。

難しいものはないですね。
4.2. 問2(40字以内の記述問題)
【コクゴローの解答】
正しいと思われていた発見も後に誤りが指摘されて、間違いだったとわかること。(37字)

たぶん「〇」だと思います。
【思考の流れ】
①指示語なので前の内容を確認。
②「正しいと思われていたけど間違いだった」ということを書けばいいのかな。
③文字数を増やして調整。
④自分の答えを指示語に当てはめて、意味が通るかを確認する。

「短い答えを作る→文字数を増やす」という流れで考えると楽ですね。
4.2. 問3(50字以内の記述問題)
【コクゴローの解答】
適応度の高い仮説がより適応度の高い仮説に修正されていくことが科学において最も重要であること。(46字)

字数の関係で「教条主義」の言い換えを入れられなかったので、その部分で減点されるかもしれないね。
【思考の流れ】
①「傍線部の説明なので、傍線部を言い換えればいいんだな」という発想で考え始める。
②「教条主義」ってたぶん「教えられた内容をそのまま使う」とか、そういう意味だな。
③「可塑性」って「形を変えられる性質」とか、そういう意味だよな。
→科学における可塑性というのは「修正される性質」ということだな。
④「科学の生命線」ってことは科学にとって「最も重要なこと」とか「なくてはならないこと」とか、そういう意味だよな。
⑤ ①~④の内容を念頭に置いて答えをつくる。
4.3. 問4(60字以内の記述問題)
【コクゴローの解答】
一つの問題に対して専門家の間でも意見が分かれることが多く、非専門家が完全に理解し、判断することは難しいから。(54字)

この問題がいちばん答えにくかったです。
情報の確度の点で議論があるという解答になっていないので、たぶん「×」だと思います。
【思考の流れ】
①専門家の間でも意見が分かれるから議論になるんだろうな。
②字数が足りないから、付け足さないと。。。
でも、何を付け足そう。。。
③後回し
④問5が終わった後に戻ってきたけど時間が足りない。。。
⑤それっぽい部分を参考に答えを書く。
→不正解

それっぽいことを書いても「〇」なんてもらえないですね。
4.4. 問4(100字以内の記述問題)
【コクゴローの解答】
修正を繰り返すことでより真実に近い仮説が出来上がってくるのが科学の特徴だが、「わからない」状態から逃れるために権威にすがりつくことで、仮説に修正が入る余地がなくなり、真実に到達できなくなるから。(97字)
【思考の流れ】
①「全体の趣旨を踏まえて」という指示があるので、科学の性質にも言及する必要があると考える。
②最終段落のアインシュタインの言葉(「何も考えずに権威を敬うことは、真実に対する最大の敵である」)から、「権威主義のせいで真実に到達できなくなる」から権威主義は良くないんだなと思う。
③ ①・②を踏まえて解答をまとめる。

「〇」か一部減点だと思います。
「確度の判定を権威にゆだねる」というような意味のことが書かれていない点が原点対象になるかも。
5.「2020年北海道大学(前期日程)第一問」の感想
文章の内容・設問ともに標準レベルの問題だと思います。
【文章の読み取り】
構造を考えながら読むことが大事だと思います。
「この段落は前の段落の具体例だな」とか、「『では』で話題が変わっているな」とか
構造を意識している人にとっては読みやすい文章だったと思います。
【設問】
指示語・傍線部説明・理由説明とオーソドックスな問題で
解答の方針も立てやすいと思います。
効率的に解答作成をしていかないと時間的に厳しくなる試験でもあると思います。
文字数の多い記述問題の解答を作るときは、まず短い答えを作って、それに肉付けをしていくという方法を僕はとっているよ。